トリミングの際、毎回必ず絞ってもらっている肛門腺。
スカンクが身を守るために出すあの臭いの正体は、この肛門腺です。
犬の場合は自分で分泌する筋肉が退化している為、大型犬など一部の犬を除き人間が手伝ってあげなければ排出されません。
溜まりすぎてしまうと最悪の場合破裂してしまうことも!
そんな肛門腺が自分で絞れたら良いなと思いませんか?
そして意外と怖い肛門腺破裂のお話です。
肛門腺の絞り方
一度は絞ってみようと試みたことがある方が多いかと思います。
・・・が、とっても難しいですよね。
犬の尻尾を軽く持ち上げ、肛門の4時と8時の位置にある肛門嚢と呼ばれる袋を、人差し指と親指でつまみます。
手前にぐいっと押し出すようにすると、臭い液が出てきます。
文章で見るとなんだかとても簡単そうですが、実際にやってみるとなかなか難しく、トリマーの卵の学生さんも苦戦することが多いです。
一度コツをつかんでしまえばなんてことはないのですが、やはり一般の飼い主様には難易度の高いお手入れになります。
もし自宅で絞る場合には、かなり臭いが強いので、お風呂場などで絞ってすぐに洗い流せるようにしましょう。
間違って服や髪に付くと大変なので、気を付けてくださいね。
一生懸命絞ろうとしてのぞき込むと顔に飛びます(経験あり)。
どうしてもお風呂場でできない場合は、ティッシュに絞り出すという方法もありますが、かなりの確率で失敗しますのでおすすめしません。
失敗した場合は、肛門腺用の消臭スプレーやウォーターレスシャンプーをかけてふき取ると多少ましです。
フレブルやパグなどのお肉の多い犬種、肥満気味や筋肉質の犬は絞りにくいことが多いですので、難しいと感じたら動物病院やトリミングサロンでお願いしましょう。
だいたいのところが500円ほどで絞ってくれますよ。
犬の肛門腺破裂
肛門腺の溜まりすぎ、または細菌の侵入などで肛門嚢が化膿したり、詰まってしまうと肛門腺が破裂します。
肛門周辺の皮膚が破けて出血するので、お尻の怪我だと思って動物病院に連れて行くケースが多いです。
愛犬が以下のような行動をとっていたら要注意!
- お尻をこする
- お尻を気にして舐める
- 尻尾を追いかける
- 肛門周りがただれている、赤い
- 排便時に痛がる
- チョロQのような動きをする
最後のチョロQは、何もないのに急に走り出します。すごい速さで。
肛門腺が溜まっている時だけにする動きではありませんが、何かを気にしていることが多いので、見かけたら少し気にして観察してあげてください。
肛門腺の硬さや溜まりやすさには個体差があります。
月に一度では追いつかない子、数か月放っておいても大丈夫な子など。
基本的には1か月に一度絞っていれば問題ありませんが、様子を見て溜まりやすそうであれば少し間隔を縮めてあげてください。
余談ですが、肛門腺の色や臭いは千差万別です。茶色や黒が一般的ですが、中には白や緑の子がいます。
だからと言って病気だとかではないので、愛犬の肛門腺の色が茶色や黒でなくても安心してください。
私は仕事で白い肛門腺と出会うと「あたり」ということにしています。
肛門腺破裂の治療
肛門の周辺からの出血で気付くことが多いと思いますが、発見したら早急に動物病院に連れていってあげましょう。
無理にふき取ろうとするとばい菌が入ってしまったりすることがありますし、犬が痛がるので、そのままで大丈夫です。
動物病院では、肛門嚢に溜まった膿を排出し洗浄を行います。
細いカテーテルで洗浄液を入れるのですが、場合によっては麻酔が必要なことも。
皮膚が大きく破れてしまっている場合は縫合をします。
軽度の場合は抗生剤の注射を打つか、内服で化膿を抑えます。
肛門腺破裂は再発がとても多く、体質によってはなかなか予防が難しい子もいます。
そのような場合は肛門嚢自体を手術で摘出してしまう方法もあります。
もちろん摘出してしまえば再発はありません。
どのような治療法の場合でも、患部を舐めてしまわないようエリザベスカラーは必須になります。
少し可哀そうですが、悪化してしまわないように我慢してもらいましょう。
最近は軽くて可愛い物も増えています。
まとめ:定期的なケアで未然に防ぎましょう
一度破裂してしまうと治療も時間がかかりますし、犬もかなり痛い思いをする肛門腺破裂ですが、日頃のケアで十分防げる病気です。
毎月トリミングに出していれば心配はありません。
更に、お尻周りの毛をすっきりカットしておくと不潔にならず安心です。
うんちがお尻に付いたままになっていたりすると、ばい菌が入りやすくなりますので、排便後はチェックしてあげてくださいね。
ただし、都度お尻を拭いていると小さな傷ができ、そこから化膿してしまうこともありますので、あまり神経質になりすぎないように。
もし自宅で絞ってあげたい場合は、動物病院やトリミングサロンで絞り方を教えてもらうと良いです。その場合は肛門腺が溜まっている状態の方が良いので、シャンプーの前にお願いしましょう。
自宅シャンプー派の方は意外と忘れてしまいがちな肛門腺絞り。
適切なお手入れで愛犬のお尻を守りましょう!