犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)とは

チョコレート色のチワワの写真

「ペットショップでパテラって言われたんですけど、パテラって何ですか?」

初めて犬を飼ったお客様から多い質問です。

子犬を購入する際にペットショップで詳しく説明を受けられなかった、という方が非常に多くいらっしゃいます。

残念ながら、親切に説明してくれるショップさんばかりではありませんので、飼い主様も簡単な知識は持っていた方が良いかと思います。

パテラって何?

後肢の膝関節がゆるく、膝蓋骨(お皿)が外れてしまう病気です。

小型犬に多いことが知られていますが、中~大型犬にも発症します。

自然治癒は極まれですが、歩行に支障がない、痛みがないという場合もあります。

そのため、普通に生活することができる子も多いですが、日常生活の中でも注意が必要になってきます。

先天性

生まれつき形成異常がある場合ですが、小型犬には比較的多いです。

ペットショップなどで子犬を購入する際には必ず確認しましょう。

大丈夫ですと言われても、念のため最初に動物病院を受診する時に、膝のチェックをしてもらった方が良いかもしれません。 

後々パテラが発覚した場合、先天性のものか後天性のものか判断できなくなりますので、早めの受診をおすすめします。

後天性

落下や飛び降り、打撲などが原因で発症する場合です。

後肢を痛がり跛行(びっこをひく)が見られる場合には、膝蓋骨が外れている可能性があります。すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

パテラのグレード

パテラには、症状により4段階のグレードがあります。

グレードⅠ

脱臼しても自然と元の位置に戻る。

すぐに普通の状態に戻りますので、気が付かないことも多いです。

グレードⅡ

日常生活に支障がないレベル。

人が手を貸せば比較的簡単に元に戻ります。

しかし、この段階で放置してしまうとグレードⅢへと進行してしまいますので、注意が必要です。

グレードⅢ

正常な位置に戻しても、すぐに外れてしまいます。

肢を上げて跛行したり、スキップをすることが多くなります。

グレードⅣ

常に脱臼しており、歩行異常が見られます。

 

パテラの術後ケア

パテラは、グレードが上がると手術が適さない場合がありますので、早期の手術をおすすめします。

特にパピーは骨が成長する前に手術をすることが推奨されています。

パテラの治療で最も重要なのは、「術後のケア」です。無事に手術が終われば大丈夫!ではないので注意が必要です。

術後数週間はケージレストが必要です。クレートなどの狭い空間で、動き回れないよう制限をします。

とても可哀そうな気がしますが、絶対安静が基本です。術部を動かしてしまわないよう気をつけましょう。

ケージの中で毎日過ごすので、犬もストレスを感じます。健康管理と並行してストレスケアも重要になってきます。

愛犬が気晴らしできるような工夫をしてあげたいですね。

先生からOKが出たら、徐々にリハビリを始めていきます。といっても、いきなり走ったりお散歩に出たりはできません。

たくさん遊ばせてあげたいところですが、部屋の中を少し歩く程度から始めましょう。

パテラの予防と対策

まだ発症していない子でも、小型犬であればしっかりと予防することをおすすめします。

  • 太らせない
  • フローリングは滑らないよう工夫をする
  • 高所から飛び降りさせない
  • 急なダッシュはさせない

基本的には膝に負担をかけないことを徹底します。

小さな犬であれば、できれば階段の上り下りも禁止した方が良いです。過保護に思えますが、超小型犬の膝にはかなりの負担になっています。

床はフローリングではないのが理想的ですが、衛生的ではない場合もありますので、犬用ワックスを塗ったりマットを敷くことで対応することもできます。

また、足裏の毛が生えたままだと滑りやすくなります。トリミングサロンや動物病院で刈ってもらいましょう。肉球クリームを塗ると劇的に滑らなくなるので、個人的にはとてもおすすめです。

嬉しいとぴょんぴょん飛び跳ねる子は注意が必要です。普段から興奮させすぎないようにしましょう。

動物病院を探す

パテラの治療は、動物病院で長期的なケア、そして継続した診察を受けなければなりません。

信頼できる動物病院を探しておきましょう。

上手に付き合っていきましょう

パテラは先天性のものも多く、小型犬では比較的頻発します。

手術するにしてもしないにしても、気を付けるべきことは同じです。

膝に負担がかからないようにすること、筋力をつけるための適度な運動をすること。

パテラも1つの個性と捉えて、上手に付き合っていけると良いですね。

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